「ディズニーCEOが実践する10の原則」のポイント
本書では、元ディズニーCEOのロバート・アイガーが「リーダーとして何を大切にしてきたか」を、自身の経験と共に語っています。その中で特に大切なポイントを下記に抜粋しました。
- どれだけ周りが変わろうとも、驕らず「自分を見失わないこと」がリーダーの本質
- イノベーションか、さもなくば死か。新しいものを恐れない。
- 「ほどほどでいい」という気持ちを押し返し「完璧への飽くなき追求」を続ける
筆者「ロバート・アイガー」ってどんな人?
著者ロバート・アイガーは「生きる伝説」とも呼ばれるスゴイ人。何がスゴイのかというと…
ピクサー、21世紀フォックス、マーベル、ルーカスフィルムの買収を成功させ、ディズニー映画低迷の時期を「アナと雪の女王」始め数々の大ヒットを生み出した。
元々はテレビ業界の下っ端に過ぎなかった筆者が、多くの偉業を成し遂げCEOへ就任。
それだけでも十分過ぎるほどスゴイですが、就任後もその勢いはとどまるところを知らず、ディズニーにイノベーションを起こし続けました。
彼がどうやってその偉業を成し遂げてきたのか、下積み期からディズニーCEO期まで、4段階に分けて紹介していきます。
下積み期:テレビ業界の下っ端
1974年、アイガーは全米ネットワークテレビ局のABCで「一番給料の安い下っ端」として働き始めます。
今も続く、朝4時過ぎに起きる習慣
アイガーが下積み時代に身につけた「勤勉さ」と「早起きの習慣」は今尚続いているそう。
全員が朝4時代とまではいかずとも、忙しい仕事の前に、自由な発送で物事を別の角度からみる時間を持つことが、生産性や創造性を保つために大切とのことです。
最高の追求「ルーン」との出会い
10の原則の中の一つ「常に最高を追求すること」をアイガーに教えてくれたのは、ABCスポーツのトップ、ルーン・アーリッジでした。
ルーンの口癖は「もっといいものを作るために必要なことをしろ」。
その言葉通り、カメラアングルや番組構成、次回予告まで、とにかく最高の番組を作るためにアイガーは奔走します。
大失敗をしたら「自分が責任を取る」
アイガーがルーンの元で学んだもう一つの大切なことは、「自分が大失敗したら責任を取る」ことです。
ルーンの元で働いているときに、陸上選手が大会で世界記録を出したにも関わらず、放映権の獲得が間に合わず番組で放映出来ないという大事件が起こります。
案の定、ルーンはカンカン。会議室で誰のせいか聞かれたとき、アイガーは正直に「自分だ」と名乗り出ます。
その場は静まり返り事なきを得たのですが、その後ルーンがアイガーを見る目が少し代わり、敬意を払ってくれるようになったといいます。
どんな時でも、自分のミスを隠そうとせず、誠実に自分の失敗を認めることが大切だと、アイガーはこの経験から学びました。
大抜擢期:ABCエンターテイメントの社長に
ABCテレビで働くアイガーに、大きな転換期が訪れます。ABCが、自社より遥かに小さな規模の会社に買収を受けることになるのです。
「本物の誠実さ」を持つ経営者トムとダン
ABCを買収した経営者が、トム・マーフィーとダン・バークでした。
この2人の元でアイガーは「善良さと仕事上の有能さは相反するものではない」ことを学びます。
敬意を持って人と接し、自分が何者かをきちんとわかって善悪の判断が出来るトムとダンの元には、他の会社に行けばもっと高い給与が貰えても、2人の元で働きたい社員が多くいたそうです。
才能に賭ける
トムとダンは、経験よりも才能を重視し、才能ある人たちを成長出来る環境におけば、自然と上手くいくはずだと信じていました。
まさに「才能に賭ける」大抜擢がトムとダンによって行われます。ABCエンターテイメントの新しい社長に、アイガーが就任するのです。
ディズニー入社期:COOから後継者へ
その後、アイガーが社長を務めるABCはディズニーから買収を受けます。
「会社を再び創業した」当時CEOマイケル
当時のCEOマイケル・アイズナーは、「ウォルトが作った会社を再び創業した男」だとアイガーは言います。
ディズニーランドやホテルの収益を大幅に拡大したり、過去の映画作品をビデオとして売り出したりすることで、業績が苦しかったディズニーを近代的なエンターテイメント企業へと育て上げました。
ディズニー映画の不調
一方で、アイガーが入社した1990年代後半ごろから、ディズニー映画の不調が目立ってきていました。
「ヘラクレス」「アトランティス」「チキン・リトル」など、どれもディズニーが好きな人であれば知っている映画ですが、芸術的にも商業的にも「大コケ」が続いていたといいます。
その他、ピクサーとの関係悪化やABCの視聴率低迷なども続き、当時のCEOマイケルは退任することになりました。
マイケルの後継者へ
マイケルの退任後、アイガーは下記3つを優先事項として挙げ、取締役会からCEOとして承認されます。
2.テクノロジーを最大限に活用する
3.真のグローバル企業になる
ディズニーCEO期:イノベーションか死か
CEOになると、アイガーは自身で挙げた3つの優先事項を守るべく、今までのディズニーがやっていないことにも次々取り組みます。
ところが、真のグローバル企業を目指して建設された「上海ディズニーランド」のオープン直前にある事件が起こるのです。
フロリダワニ事件
日本でも大きく報道されていたので、覚えている人も多いかもしれません。フロリダのディズニーリゾートにある湖でワニが2歳の男の子を襲い、男の子は亡くなってしまいます。
この事件が起こったのが、なんと上海ディズニーランドのオープン直前でした。アイガーは、オープン前の分刻みで決まっているスケジュールの中この事件を聞き、自ら男の子の家族へ電話を掛けます。
電話後も涙が止まらなくなりますが、必死に涙を堪えて、オープンの為笑顔でアトラクションに乗り、要人と握手をかわすアイガー。本書の中で、この日は自身のキャリアの中で「一番悲しい日だった」と言っています。
ピクサー、21世紀フォックス、マーベル、ルーカスフィルム買収
ディズニーは「良質なオリジナルコンテンツを作る」ために、ピクサー・21世紀フォックス・マーベル・ルーカスフィルムを次々と買収していきます。
この買収を成功させた鍵もまた、アイガーが大切にする「誠実さ」でした。「決定権を持つ一人と信頼関係を築けるか」が買収を成功させた理由だったのです。
ディズニー独自の配信サービス作成
3つの優先事項の最後の一つ「テクノロジーを最大限に活用する」ために、ディズニーは独自の定額配信サービス「ディズニープラス」を企画・制作します。
日本でも2020年にサービス開始されていますね。
ディズニーCEOが実践する10の原則
最後に、これまでアイガーを助けた「真のリーダーシップに必要な10のこと」とは何だったのか、を下記に書いておきます。
- 前向きであること
- 勇気を持つこと
- 集中すること
- 決断すること
- 好奇心を持つこと
- 公平であること
- 思慮深いこと
- 自然体であること
- 常に最高を追求すること
- 誠実であること
要約で紹介しきれなかったストーリー
本書には、要約で紹介仕切れなかったストーリーが数多くあります。
ぜひ、本やKindleで読んでみてください。